2023.05.11疾患から探す

眼科専門医 森田修

眼瞼下垂(がんけんかすい)は、まぶたが上がりにくくなり目を開くことが難しくなった状態です。

眼瞼内反(がんけんないはん)は、逆さまつ毛のことです。

眼瞼下垂・眼瞼内反とは

眼瞼下垂(がんけんかすい)

眼瞼下垂とは、上眼瞼(じょうがんけん:うわまぶた)が下がってくる状態を言います。

まぶたが落ちてくるため、外見上の問題以外にも、物理的に視野が狭くなり見えにくくなるほか、肩こりや頭痛、疲れといった眼精疲労の症状があらわれます。

眼瞼内反(がんけんないはん)

眼瞼内反(がんけんないはん)とは、下眼瞼(かがんけん:したまぶた)が内向きに反り返って(内反)、目に睫毛(まつ毛)が当たって、目の表面を傷つけてしまう病気です。一般にさかさまつ毛ともいわれます。

目に傷がついてしまうことで、痛みや異物感が生じたり、光を眩しく感じる、視力が低下する、目ヤニが出るといった症状があらわれます。

眼瞼下垂・眼瞼内反の原因

眼瞼下垂の原因

眼瞼下垂は、上眼瞼(うわまぶた)を持ち上げている筋肉の力が弱くなってしまうことや、腱膜のたるみや菲薄化(薄くなる)こと、筋肉を動かす指令を出している神経の働きが鈍ることなどで起こります。

眼瞼下垂は大きく下記の二つに分類することができます。

先天性

生まれつき上眼瞼(うわまぶた)が垂れている状態です。弱視や斜視の原因となることがあります。状態によっては手術が必要になります。

後天性

大人になってからなる眼瞼下垂です。原因として以下があります。
①腱膜性:退行性(加齢性)、コンタクトレンズ使用後、開瞼器使用後など
②神経原性:動眼神経麻痺、Horner症候群、Fisher症候群など
③筋原性:重症筋無力症、筋緊張性ジストリフィーなど
④その他:外傷、腫瘍による圧迫など
このうち、腱膜性については手術をすることで状態を改善させることができます。神経原性や筋原性は全身疾患(お体の病気)が原因ですので、しっかりと見抜いて内科と連携をとって治療にあたることが重要です。

眼瞼内反の原因

一般にいう逆さまつげには3種類あり、睫毛内反(しょうもうないはん)と睫毛乱生(しょうもうらんせい)、眼瞼内反(がんけんないはん)です。

睫毛内反は小児に多く、下眼瞼(したまぶた)の張りのバランスが悪いことで常に下眼瞼が内向きに向いてしまっています。

睫毛乱生は瞼の位置の異常はありませんが、睫毛(まつ毛)の生える向きが眼の方向を向いてしまっております。

眼瞼内反は加齢が原因で生じることが多く、下眼瞼に針を持たせている組織がたるんでしまうことで下眼瞼が内向きをむいてしまいます。指で下眼瞼の位置を直してあげると改善しますが、瞬きをするとすぐに内向きに反ってしまいます。

眼瞼下垂・眼瞼内反の治療

眼瞼下垂の治療

先ほどの原因(原因の説明に飛ぶように)でお話しした原因のうち、腱膜性眼瞼下垂は手術によって治します。まぶたを上げる筋肉が弱くなっていたり、たるんでいる場合には、それを補強する手術を行います。まぶたを上げると共に、見た目としても形やバランスに不自然がないように、配慮し、手術を行います。手術方法は様々あり、状態によって使い分けます。

手術方法

①皮膚を切開します
②止血しながらたるんだ筋肉(上眼瞼挙筋筋膜)を同定します
③たるんだ筋肉を切開して瞼板の元の位置に縫い付けます
④瞼の上がり具合を確認します
⑤調整が必要であれば縫い直します
⑥程よい具合に調整ができたら傷口を閉じて終了です

眼瞼内反の治療

逆さまつげ(睫毛内反・眼瞼内反)については睫毛を抜くことでも対応できますが、定期的に抜去のために受診しないと、毛なのでまた生えてきてしまいます。手術をすれば状態の改善を得られますが、再発することもあります。手術方法は様々あり、状態によって使い分けます。

睫毛内反(説明の箇所に飛ぶように)は成長とともに改善することが多いです。症状が強く、視力の成長の妨げや生活に支障があるようであれば早期に手術することもあります。

睫毛乱生(説明の箇所に飛ぶように)は睫毛の生えている向きの異常で、向きの修正を行うことができません。そのため、睫毛(まつ毛)の根本を切除するか、焼灼(焼いて壊す)などを行います。

眼瞼内反(説明の箇所に飛ぶように)は下眼瞼に張りを持たせている筋肉がたるんでいますので、手術で短縮します。

手術方法(※縫合法の場合)

①皮膚を0.5mm3か所切開します。
②糸を通して下眼瞼に張りを持たせている筋肉を短縮してあげることで、下眼瞼が目の方向に反り返るのを防ぎます。

森田眼科では軽度の眼瞼下垂や睫毛内反、眼瞼内反の手術に対応しております。お悩みの方はお気軽にご相談ください。