2023.05.11疾患から探す

眼科専門医 森田修

高血圧に非常に深い関係があり50歳以上の方におきやすい病気です。
後述いたしますが、高血圧のほかに、高脂血症、血管自体の炎症、糖尿病などがある場合にも発症しやすい目の病気です。

網膜静脈閉塞症とは

網膜とは目の内側にある、対象物を映し出すスクリーンの役割をしている組織です。

そして、網膜静脈は網膜の機能を維持するために、網膜全体に分布している血管です。

この血管が血流の障害によって詰まり、網膜に出血をきたした状態が網膜静脈閉塞症です。

網膜の浮腫(むくみ)や目の中の出血(静脈が詰まることで新生血管が発生し、それが破れる)などが起きてしまうことで、視力が急激に低下する、視野が欠損する、物がゆがんで見えるなどの症状がみられます。

網膜静脈閉塞症の原因

静脈が詰まる原因については、生活習慣病によって網膜の血管が固くなることが影響していると言われております。生活習慣病には高血圧や糖尿病、高脂血症などがあります。これらによって、動脈硬化が進むことが危険因子です。

網膜静脈閉塞症は、詰まっている場所によって、網膜中心静脈閉塞症(CRVO:網膜静脈の根元が閉塞している)と、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO:静脈の分枝が閉塞している)に分類されます。

発症メカニズムについて説明します。網膜の動脈と静脈は、木の枝のように広がっており、網膜の静脈と動脈は外膜を共有して交差した構造になっています。そのため、網膜動脈が動脈硬化を起こし、血管が硬くなると、網膜静脈は圧迫を受け、血流が悪化して血管が詰まります。すると、網膜にむくみや出血がみられ、視力が低下するなどの症状が現れるようになるのです。さらに、詰まった部分の視野(見える範囲)が欠損するほか、黄斑部にまで浮腫が起きるようになると視力障害や物がゆがんで見えるなどの症状もみられます。

一方で、人によっては自覚症状がみられないこともあります。

網膜静脈閉塞症の治療方法

無症状や視力が比較的保たれている場合は、自然に治癒することもあるため定期的に検査と診察を行います。黄斑部にむくみ(黄斑浮腫)がある、目の中全体に出血をきたした(硝子体出血)、悪い血管(新生血管)が発生してきている/発生する危険が高い、もしくは予防的治療が必要と医師が判断した場合には、治療を行います。

抗VEGF薬という新生血管を抑えるお薬を目の中に注射(硝子体注射)したり、レーザー治療をしたり、場合によっては手術が必要となるとこもあります。

定期的な診察と適切な管理を行わないと失明することもありますので、しっかりと通院してください。何か気になる症状があれば、森田眼科までご相談ください。