2023.05.11疾患から探す

眼科専門医 森田修

ぶどう膜炎になると、目のかすみ、まぶしく感じる、飛蚊症(虫が飛んでいるように見える)、視力低下、眼痛、充血などの症状がみられます。片眼だけの場合や両眼同時、両眼交互など様々な形で症状が現れることもあります。

ぶどう膜炎とは

ぶどう膜とは、
・眼の中心にある黒目の部分(瞳孔)の大きさを調整する「虹彩」
・眼の中でレンズ(水晶体)の厚さを変えピントを調整する「毛様体」
・目に酵素や栄養を与え、暗幕の役割を担っている「脈絡膜」
を合わせた部位の総称です。

このぶどう膜に炎症を起こすことにより起こるのがぶどう膜炎です。

症状の経過についても、徐々に症状が進行するものから、一時的に良くなり再びまた悪くなるといった再発を繰り返すものまで様々です。

ぶどう膜炎の原因

ぶどう膜の組織というのは、たくさんの血管が集中しているという共通した特徴があります。そのため炎症を起こしやすくなるわけですが、その原因は様々で、なかには全身疾患(お体全体の病気)の一つの症状として現れることもあるので、眼以外の症状がある場合や再発する場合には、しっかりと原因を調べる必要があります。

原因については、細菌やウイルス、真菌などによる感染、免疫異常、全身疾患、外傷などがあります。しかし、半分ぐらいは調べても原因が分かりません。なお、免疫異常によって引き起こされるぶどう膜炎のうち、サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病は、日本では三大ぶどう膜炎と呼ばれています。

ぶどう膜炎が発症すると、ぶどう膜から目全体に炎症が拡がります。これによって、目のかすみや飛蚊症の症状がみられるようになります。また、ぶどう膜の炎症だけが原因ではなく、ぶどう膜には血管が多く存在するために、全身の臓器の炎症が血液の流れを通して、ぶどう膜炎が生じることがあります。血管が多いぶどう膜は、炎症が起こりやすい場所といわれています。

ぶどう膜炎の原因となる代表的な目の病気

サルコイドーシス

全身の至るところに肉芽種(しこり)ができる原因不明の病気です。眼にできたしこりが炎症を起こすことでぶどう膜炎を発症します。

ベーチェット病

全身の粘膜や皮膚に炎症が起きてしまう原因不明の病気です。体内の白血球が異常に集まることが原因で、炎症がおき、ぶどう膜炎を引き起こします。

原田病

色素細胞(メラノサイト)に対して過剰な免疫反応が起きる病気です。

目の部位(虹彩、毛様体、脈絡膜)にも色素細胞があり、身体の正常な組織を排除するために、ぶどう膜炎を発症することがあります。

ぶどう膜炎の治療

目の症状のみで、炎症の程度が軽度であれば、まずは点眼による治療を行います。炎症止めや抗生剤の点眼、虹彩の動きを抑えて休ませるような点眼を処方します。

中等度以上の場合はこれに内服薬や、結膜下注射やテノン嚢下注射(目の表面の注射)を行うことがあります。強い症状を認める場合には、ステロイド薬の内服あるいは点滴による治療が必要となることがあります。点滴治療まで必要な状態であれば入院治療となります。

ウイルスや細菌によって引き起こされた感染性ぶどう膜炎であれば、抗菌薬や抗ウイルス薬を使用しますが、入院による管理が必要となることが多いです。

適切な判断や治療が必要になる病気ですので、まずは森田眼科にご相談ください。