近年子供たちの近視が急速に増え、社会問題となっております。川口市にある森田眼科では、子供たちの近視進行に対して積極的に治療を行っています。
25年以上にわたり、この地域で眼科診療を行ってきて、近視が進んでメガネやコンタクトの度数が徐々に上がっていくお子様や、はじめは近視の軽かったお子様が大人になってから強度近視のために目の病気を発症する姿をみていて、何か力になれることはないかと思い、近視進行抑制治療に取り組むようになりました。
永く寄り添える地域のクリニックだからこそ、できる治療があると思います。近視を治す事はできませんが、進行を少しでも軽減する事で大きな病気に繋がることを防ぎ、より良い目の状態に保ちます。
当院で提案している近視抑制治療
当院では大きく分け4つの近視進行抑制治療を行っております。
近視とは
近視とは、近くの物にピントがあっていて遠くが見えにくい目の状態です。近視を矯正する方法には、メガネやコンタクトレンズを使用する方法から、眼内レンズ挿入やレーシック手術などの手術を伴う方法まであります。
近視がどんどん進んでしまうと、網膜剥離や緑内障、近視性脈絡膜新生血管など失明に繋がってしまう重篤な合併症を引き起こすことがあります。そのため、近視が病的に進まないようにすることが大切です。ここでは、当院で行っている近視進行抑制治療を中心に紹介します。
光学的アプローチ
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、寝ている時間にハードコンタクトレンズをつけることで、角膜の形状を変化させて、近視を矯正する治療方法です。
昼間はコンタクトレンズをつけている必要がなく、裸眼で過ごせます。
レーシックのように角膜を削ったりしないため、コンタクトレンズの使用をやめれば元に戻すこともできる視力矯正方法です。
近視がすすみにくくなるというデーターも様々な研究で発表されています。
それによると、オルソケラトロジーによる近視進行抑制効果は32%~63%(※1)で、特に学童期から始めた方が効果は出やすいと報告(※2~5)されています。
※1 Vandeenl. Ophthalmology
※2 Li SM. Curr Eye Res 2015
※3 Sun Y. PLoS One 2015
※4 Si JK. Optom Vis Sci 2015
※5 Wen D. J Ophthalmol 2015
オルソケラトロジーの特長
オルソケラトロジーの特長は、以下の通りです。
- オルソケラトロジーには近視矯正と近視進行抑制効果の両方がある
- 寝る時につけることで、昼間は裸眼で過ごすことができる
- レンズの装用を中止すれば元に戻るため、他の治療方法に切り替えることもできる
こんな方にお勧め!です
- 近視や乱視が強くない方(‐4.00D以下の近視 / ‐1.50D以下の乱視)
- 子供の近視進行抑制に期待されている方
オルソケラトロジーの治療について
オルソケラトロジーの近視進行抑制のメカニズム
近視の眼に対して、メガネや普通のコンタクトレンズで矯正を行うと、レンズの周辺から入ってくる光は網膜よりも遠くにピントが合います。このため、像がぼやけ、その刺激によって眼軸が伸びて近視が進行するといわれています。
一方、オルソケラトロジー治療の場合は周辺の網膜でも像のぼやけが少なく、眼軸を伸ばす刺激が少ないため、近視の進行が抑えられると考えられています。
実際の治療の流れ
森田眼科では定額制プログラムも導入しており、患者さんの金銭的な負担にもなるべく配慮できるように努めております。
気になる方はまずは受診して、ご相談ください。
Step1.適性検査:
オルソケラトロジーの適応になるかどうかの検査をします
Step2.トライアル:
寝ている間にコンタクトレンズを装用する必要があるため、 院内で装用してもらって30分程度、目を閉じて頂きます。
Step3.1週間貸し出し:
トライアルで問題なければ、実際にご自宅で使用していただきます。
Step4.契約・レンズ注文:
ご自宅での使用にも問題がなければ、正式にレンズの発注となります。
Step5.レンズお渡し
Step6.定期検査:
目の状態や近視の進行を遅くできているかなど定期的に検査・診察を行います。
多焦点コンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズは、遠くを見るためのレンズに近くをみるための度数が付加された遠近両用コンタクトレンズです。一般的には老眼も矯正できるコンタクトレンズとして知られています。この多焦点コンタクトレンズが子供の近視進行抑制の治療にもなると報告されており、国内外で注目されています。
多焦点コンタクトレンズの近視進行抑制のメカニズムは、オルソケラトロジーの近視進行抑制のメカニズムと基本的に同様です。
多焦点コンタクトレンズの特長
多焦点コンタクトレンズ特長の特長は、以下の通りです。
また、多焦点コンタクトレンズの弱点については、こちらをお読みください。
- 近視の矯正効果と近視進行抑制効果がある
- オルソケラトロジーと比べて負担が少なく、刺激が少ないため装用しやすい
- 衛生面での管理が比較的容易
- 日中に装用するため、自分で取り外すといった自己管理が必要
こんな方にお勧め!です
- 近視の進行が気になる方
- ご自身でコンタクトレンズの管理ができる方
- オルソケラトロジーの適応とならない方(-4.0D以上の近視の方)
薬理学的アプローチ
低濃度アトロピン(マイオピン)
マイオピン点眼薬は、近視の進行を抑える(眼軸長の進展を抑制する)効果が確認されている治療法の1つです。毎日就寝前に1滴点眼するだけの、簡単な治療法になります。
シンガポールや国内外の臨床研究で有効性が証明されており、近視の進行を平均60%軽減させると言われております。また、副作用が極めて少ないことも特徴で、日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。目の遠近調節機能(手元を見る作業)や近見視力に殆ど影響を与えません。
低濃度アトロピン(マイオピン)の特長
- 国内外の臨床試験で近視の進行抑制が確認されている目薬です
- 視機能に影響するような副作用は報告がほぼありません
- 寝る前に1回点眼するだけの治療です
こんな方にお勧め!です
- 軽度または中程度(-6D)以下)の近視の方
- 6~12歳の学童の方
Audrey chia. Ophthalmology 2012
費用について
自由診療の治療となります。
診察費と点眼薬の費用がかかりますので、ご確認ください。
マイオピン点眼液 (1本当たり/税込) |
0.01% | 3,200円 |
---|---|---|
0.025% | 3,800円 |
環境的アプローチ
屋外活動や焦点距離などの生活指導
近視の進行を阻止するには日常生活での注意も必要です。
以下に4つのポイントをまとめます。
森田眼科では、近視進行抑制治療の経験のある眼科専門医による生活指導も行っております。まずはお子様の将来の目のためにできることから始める事が大切です。生活指導のみでも、気兼ねなくご相談ください。
1:外に出て、日光を浴びる
1日2時間以上屋外で活動しましょう。
屋外活動時間が長ければ近視になるリスクが低くなることが報告されています。また、両親ともに近視でなくても屋外活動が短ければ、近視になりやすいこともわかっています。
2:適切な明るさの環境で目をつかう
照度計で200ルクス以上が望ましいです。
3:長時間近くのものを見続けないで適宜休憩をいれる
30分に一度は遠くを見て目の休憩をしましょう
4:目から30cm以上離して作業する
読み書き以外に、手元で使用するスマホやゲーム機、タブレット、パソコンなどがあります。これらの機器がどの程度有害か、どのように使用すればよいかに関しては、特定されていません。しかし、最新の研究では、スマホや携帯ゲーム機器などの有害な点が指摘されつつあります。
今後研究が進むことで、これらの機器をどのように用いるべきかが具体的に示されると期待されます。
補助治療
サプリメント(クロセチンソフトカプセル内服)
慶応大学病院の研究から内服薬の有効性が期待されております。
こちらのサプリメントは眼科でしか購入することができません(薬局で購入できるロートクリアビジョンとは有効成分の含有量が異なります)。
詳しくはこちらをご覧ください。
森田眼科で近視進行抑制治療をご希望(ご相談)の方へ
相談や治療をご希望の方は電話での予約をおとり下さい。 予約のない患者様の場合は混雑時には当日には対応困難な場合がございますので、予めご了承下さいますよう宜しくお願い致します。