【要約】
川口市の森田眼科では、副院長・森田修が2026年3月の医師向け iStent inject W セミナーに登壇しました。白内障手術と同時に行う低侵襲緑内障治療について、世界のエビデンスと自験例をもとに、効果・安全性・適応をご紹介します。白内障手術を検討中で、緑内障も指摘されている方はぜひご一読ください。

この記事では、講演の内容を患者さん向けにわかりやすくご紹介します。
「緑内障で点眼を続けている」
「白内障手術を考えている」
「できれば目の負担が少ない治療を知りたい」
という方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
iStent inject Wとは

iStent inject W(アイステント インジェクト ダブリュー)は、グラウコス社が開発した低侵襲緑内障手術(MIGS:Minimally Invasive Glaucoma Surgery)のデバイスです。
目の中の房水の流れを改善するために、ごく小さなステントを留置し、眼圧を下げたり、点眼の負担を減らしたりすることを目指します。
講演では、iStent inject Wを次のような位置づけの治療として整理しました。
- 侵襲が小さい
- 白内障手術と併用しやすい
- 眼圧を大きく下げるというより、眼圧を安定させながら減薬を目指す治療
- 将来の治療選択肢を残しやすい、オプション的な立場の緑内障手術
つまり、すべての緑内障患者さんに向く治療ではありませんが、白内障を伴う軽度〜中等度の開放隅角緑内障では、検討しやすい選択肢の一つです。
緑内障手術の位置づけ(目安)
| 術式 | 侵襲の大きさ | 目標眼圧の目安 |
|---|---|---|
| iStent inject W | 最小 | 点眼減少 余力を作る |
| 線維柱帯切開術 (眼内法) | 小〜中 | 14mmHg前後 |
| PreserFlo MicroShunt | 中 | 12mmHg前後 |
| 線維柱帯切除術 (トラベクレクトミー) | 大 | より低い眼圧を狙える |
講演でお話しした「効果」と「安全性」
眼圧を軽度下げ、点眼を減らせる可能性
講演では、白内障手術と iStent inject を同時に行った実臨床データとして、
2年で2〜3mmHg程度の眼圧下降と減薬、安全性良好 という内容を紹介しました。重大な合併症は稀とされています。
角膜内皮への影響が比較的小さい
講演では、iStent inject は白内障手術単独と比べて角膜内皮細胞への影響に大きな差がなく、内皮安全性に配慮されたデバイス と紹介しました。
視野維持にも有利な可能性
講演では、15研究1115眼のメタ解析も取り上げました。
初期〜中期緑内障において、iStent または iStent inject 後の視野進行速度は緩やかで、特に白内障手術同時群で安定した経過が示されていました。
自験例からみた iStent inject W の実際
講演では、順天堂大学浦安病院での自験例3年成績もご紹介しました。森田医師がこれまで学会発表でまとめてきた内容です。
全192眼の検討で、
- 術前眼圧:15.0 mmHg ⇒ 最終受診時:13.0 mmHg
- 術前点眼:3.0剤 ⇒ 術後3年:2.0剤
であり、眼圧を維持・軽度低下させながら、点眼負担を減らせていたことを示しました。
また、
- 術前眼圧が14mmHg未満でも点眼減少が得られた
- 白内障手術の視力改善効果を損ねなかった
- 視野は術後に明らかな悪化なく経過していた
という点も講演で強調しました。
このため、iStent inject W は
「眼圧を大きく下げたい人向けの手術」 というより、
「白内障手術のタイミングで、今後の点眼負担や治療のしやすさも考えておきたい方」
に向いている治療と考えています。
なお、森田眼科では副院長の森田医師が手術執刀を行います。
▶ 森田医師の手術実績一覧はこちらをご覧ください。
どのような患者さんに向いているか
iStent inject W を検討しやすいのは、主に次のような方です。
- 白内障があり、手術を検討している方
- 軽度〜中等度の開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障の方
- 点眼本数が増えてきて負担を感じている方
- 点眼による充血、しみる感じ、手間が気になる方
- 将来も見据えて、治療の選択肢を整理したい方
一方で、
- 閉塞隅角緑内障
- 続発緑内障
- 難治性緑内障
- より低い目標眼圧が必要な進行例
では、別の治療や、より強い緑内障手術が適しています。
森田眼科で大切にしていること
緑内障の診療では、手術だけが目的ではありません。
むしろ大切なのは、
- 早期発見
- 視野進行の丁寧な確認
- 点眼治療の最適化
- 白内障を含めた全体の治療設計
- 必要なときに適切な手術を選ぶこと
です。
森田眼科では、
「すぐに手術」ではなく、「今の状態に本当に合った治療は何か」を専門医が判断すること
を大切にしています。
白内障手術と同時に iStent inject W が向く方もいれば、点眼治療の継続でよい方、他の術式が適している方もいます。
だからこそ、
緑内障を長く安定して管理したい方、
白内障と緑内障をまとめて相談したい方 にとって、
専門医に一度整理してもらうことには大きな意味があります。
こんな方は一度ご相談ください
- 健診や他院で緑内障を指摘された
- 緑内障で通院中だが、今の治療が自分に合っているか不安
- 点眼が増えてきて負担を感じている
- 白内障手術の予定があり、緑内障も一緒に相談したい
- 手術が必要かどうか、まず判断してほしい
森田眼科では、視力、眼圧、OCT、視野、隅角などを確認し、
点眼を続けるべきか、手術を考えるべきか、白内障手術と同時治療が向くか を丁寧にご説明します。
▶緑内障の疾患・診断について:緑内障ページへ
▶緑内障手術について:日帰り緑内障手術ページへ
まとめ・アクセス・予約方法

緑内障治療で本当に大切なのは、
「手術を受けること」そのものではなく、
自分の病状に合った治療を長く続けていくこと
です。
講演でお伝えしたポイント
- 軽度〜中等度の開放隅角緑内障で、白内障を伴う方の選択肢になりやすい
- iStent inject W は、白内障手術と同時に行う低侵襲緑内障治療の一つ
- 眼圧コントロールと減薬が期待できる
- 安全性は良好で、角膜内皮への配慮も重要な特長
白内障手術と緑内障治療をまとめて相談したい方へ
森田眼科では、緑内障の長期管理から、白内障を合併した場合の治療選択まで一貫してご相談いただけます。
- 緑内障と言われたが、今の治療でよいか不安
- 点眼が増えてきて負担を感じる
- 白内障手術の前に、緑内障も相談したい
このような方は、まず外来でご相談ください。
【アクセス】
JR京浜東北線「西川口駅」東口より徒歩4分です。
蕨市や戸田市、南鳩ヶ谷方面からも通院しやすい立地です。蕨駅からは1駅(3分)で、駐車場や駐輪場も完備しております。院内はバリアフリーですので、足元の不安な方もそのままお入りいただけます。
【ご予約はこちら】
よくある質問
Q1. iStent inject W は誰でも受けられますか?
いいえ。白内障を伴う軽度〜中等度の開放隅角緑内障では検討しやすいですが、病型や進行度によって向き不向きがあります。まずは診察と検査が必要です。
Q2. iStent inject W を受ければ点眼は必ずやめられますか?
必ずやめられるわけではありません。講演で示した自験例では点眼負担の軽減が得られていましたが、目標は「すべての点眼をゼロにすること」ではなく、病状に応じてよりよいコントロールを目指すことです。
Q3. 緑内障があっても白内障手術は受けられますか?
多くの場合、受けられます。むしろ緑内障の状態を踏まえて、白内障手術単独がよいか、iStent inject W を併用するかを検討します。
【監修医師】
森田 修(順天堂大学浦安病院外来医長・森田眼科副院長・眼科専門医・医学博士)
視野の欠けや見えにくさがある場合、緑内障が原因となっていることがあります。
詳しくは緑内障のページをご覧ください。