2023.05.11疾患から探す

眼科専門医 森田修

原因や状態により適切な治療法が異なりますので、まずは眼科医を受診するようにしてください。お気軽に西川口駅の森田眼科までご相談ください。

結膜炎・アレルギー性結膜炎とは

結膜(白目の表面とまぶたの裏側を覆っている膜)に炎症が起きている状態を結膜炎と言います。炎症によって、目の充血、むくみ、ぶつぶつができるなどの所見を認め、目脂や異物感などの症状が起こります。場合によってはまぶたが腫れてくることもあります。

目の粘膜にアレルゲン(アレルギーの原因物質:花粉等)が付着して、結膜に炎症を起こしている状態のことをアレルギー性結膜炎と言います。代表的なものは花粉症です。主な症状は、目の充血やかゆみ、涙が出る、目やに、異物感(ゴロゴロする)を訴えるなどです。

一方で、はやり目などの感染性結膜炎はウイルスや細菌が悪さをしており、人にうつることもあります。こちらも初期はかゆみや異物感を訴えますので、しっかりと見極めることが大切です。

結膜炎・アレルギー性結膜炎の原因

結膜炎は、大きく感染性結膜炎とアレルギー性結膜炎の2種類に分類されます。

感染性結膜炎は、さらにウイルス性と細菌性に分類されます。どちらもウイルスや細菌が目に入ることが原因で結膜炎が発症します。

ウイルス性結膜疾患

ウイルス性の場合は、アデノウイルスによる流行性角結膜炎(はやり目)、咽頭結膜熱(プール熱)をはじめ、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる急性出血性結膜炎などがあります。

夏の季節に発症しやすいのが、はやり目とプール熱です。はやり目はさらさらした目やにが両眼にみられます。また涙が出る、まぶしく感じる、耳付近のリンパ節に腫れや痛みなどの症状も出ます。さらに結膜の充血、眼瞼結膜に分泌物が溜まる、まぶたにむくみなども現れます。

一方のプール熱は、小児が発症するケースが大半で、結膜炎自体の症状は軽度ですが、発熱や咽頭の痛み、頭痛や腹痛(下痢)などもみられます。また急性出血性結膜炎も結膜炎の症状自体は軽度(目の中の異物感、軽い流涙、眼球結膜下の出血)で、これら眼症状は1週間程度で治まります。ただ可能性として、その後(半年以上経過してから)に手足の麻痺が現れることもあります。

細菌性結膜疾患

細菌性の場合は、黄色ブドウ球菌など一般細菌に感染することで発症する細菌性結膜炎、淋菌が原因の淋菌性結膜炎、クラミジア・トラコマティスに感染することで引き起こされるクラミジア性結膜炎というのがあります。いずれの細菌性結膜疾患にしても、まぶた(眼瞼)の腫れ、目の中の異物感、膿を伴う目やに、結膜の充血などの症状がみられます。

細菌性結膜炎は、小児と高齢者に起こりやすいのが特徴で、乳幼児ではインフルエンザ菌、学童期のお子さんでは肺炎球菌によって引き起こされることが多いです(黄色ブドウ球菌が原因になることもあります)。

一方、高齢者では黄色ブドウ球菌が原因菌となることが多く、この場合は慢性化しやすいことが多いので、他の眼疾患(眼瞼炎、角膜潰瘍 など)を併発しやすくもなります。

また淋菌性結膜炎は、主に性行為によって淋菌に感染している患者様の性器や精液などに触れ、そのまま目をこするなどする発症することが多く、この場合は性感染症として発症することが多いです(淋菌に感染している妊婦に新生児が産道を経て垂直感染する新生児膿漏眼もあります)。

このほか、クラミジア性結膜炎も性感染症として発症することが多いです。またクラミジアに感染している妊婦の胎児が産道において感染し、発症することもあります。

アレルギー性結膜炎

目の粘膜などにアレルゲン(アレルギーの原因物質:花粉等)が付着して、結膜に炎症を起こしている状態のことをアレルギー性結膜炎と言います。このアレルギー性結膜炎は、ある時期(季節)だけ限定して発症する季節性アレルギー性結膜炎(大半は花粉症)と、一年を通じて発症し続ける通年性アレルギー性結膜炎(原因の多くはハウスダスト)に分けられます。

なお花粉症(季節性アレルギー性結膜炎)については、スギ、ヒノキ、ケヤキ、イネ、ヨモギ、ブタクサなど人によって原因となる花粉は異なります。そのため発症するのが、春という患者様もいれば、夏あるいは秋に限定して起きるという患者様もいます。

結膜炎・アレルギー性結膜炎の治療

結膜炎は原因が様々ですので、原因を特定したうえで、それに合わせた治療を行います。
共通する治療としては、目の炎症が症状を引き起こしているため、それを抑える治療をします。
感染性の結膜炎では感染に対する抗菌薬の治療も行います。アレルギー性結膜炎であれば生活指導や内服薬も治療として行います。アレルゲンが原因となるので、日常生活内でアレルゲンを避けるようにしていただくことも大切です。

ウイルス性結膜炎(はやり目)の生活上の注意点

アデノウイルスは、伝染性が非常に高いウイルスで、主に手を介して伝染します。はやり目を周囲の人にうつさないために、以下の点に注意しましょう。

  • 手で目をこすらない
  • 患者さんとそれ以外の人で、手や顔を拭くタオルを分ける
  • 患者さんもその家族も流水でよく手を洗う
  • 目を手やタオルで拭かず、ティッシュペーパーなどの使い捨てのものを使用する
  • お風呂は患者さんが最後に入る

季節性のアレルギー性結膜炎に関する生活の工夫について

花粉症などのアレルゲンについては、その花粉が飛ぶ季節には、花粉になるべく接しないような工夫をします。具体的には以下の様な工夫があります。

  • 外出時にはメガネやゴーグル、マスクを着用する
  • 洗濯物は外に干さない
  • 外出から帰った時は服についた花粉を払い、洗顔、うがいなどで体から花粉を落とす
  • 人工涙液を点眼し、花粉を除く

ダニやハウスダストなどの通年性のアレルゲンについては、室内環境や寝具の改善やていねいな掃除などが有効な対策となります。また、アレルギー症状がひどい時には、コンタクトレンズの使用は控えましょう。